2011年7月21日木曜日

ハチはなぜ大量死したのか?

2009年3月に書いた感想文。最近、本書が文庫本化されたので、掲載する。

数年前から世界中で蜜蜂のコロニーが崩壊する現象が発生しており、数億の単位で
蜜蜂がいなくなっているらしい。
明確な原因は未だ不明ではあるが、ダニや伝染病に加え、農薬の複合汚染も問題視
されているとのこと。
高度な集団生活を行う蜜蜂が、その拠り所である社会を失ってゆく過程を想像すると
痛々しい。
さらに、蜜蜂の崩壊は、受粉をハチに依存する果物など多くの食料の生産に、多大な
影響を与えていることを教えてくれる。

店先で販売している蜂蜜をよく見れば、いろいろな国から輸入されている現状に驚く。
かなりの紙面を割いて展開されるコロニー崩壊の謎解きは、いま一つシャープさを欠き、
少々食傷気味となるが、全体としては”考えさせる”良作。