2011年5月30日月曜日

3652(エッセイ集)

伊坂幸太郎、初のエッセイ集。デビュー以来10年の集大成。
伊坂氏らしい、ちょっといい話がたくさんでてくる。
また、これまでの作品に関する「ゴシップ」もいろいろ楽しめる。
個人的には干支エッセイに苦しむ伊坂氏が気に入った。

マリアビートル

「グラスホッパー」の続編として書かれた、殺し屋小説にして最新刊の作品。
とにかく、中学生にして”超”のつく悪者「王子」が最高に腹立たしい!
そして、彼の悪意を見抜くのが引退した殺し屋の老夫婦という設定が憎い。
場所が東北新幹線の車内に限られるのも伊坂氏らしい。
グラスホッパーに出てきた、懐かしい人物も何人か出てくる。
いろいろ語るとネタばれになるのでこれぐらいにしておきますが・・・。

2011年5月24日火曜日

バイバイブラックバード!

伊坂氏得意の短編連作集ではあるが、ストーリーも語り口も少し物足りない。
特に終わり方は中途半端だ。
なんらかの事情で、借金のかたに「バス」に乗せられ”あそこ”に送られることになった
主人公は、バスに乗る前に”マツコ・デラックス”を彷彿させる暴力的な大女の監視役
を帯同し、”五股”を掛けていた彼女達に「この大女と結婚するから別れてくれ。」と挨拶
して回ることになる。
シチュエーションはいかにも伊坂ワールドなのだが、期待のハードルを越えていない。
「週末のフール」や「死神の精度」を読んだときのパンチ力が感じられない。
残念だ。

オー!ファーザー

「ゴールデンスランバー」の”大転換”前に連載の始まった作品との事。
かっての伊坂幸太郎がここにいる。やはり、昔の伊坂節が好みだ。
父親が四人というシュールな設定が心地よい。

ガールフレンドの突込みも気が利いている。
「人生で有意義なことの大半は無駄にみえるんだって、知らないの?」
「誰の言葉だよ、それ」
「わたしの知り合いで、豊臣秀吉の埋蔵金を掘ってた人」


話的には少々訳の分からない籠城事件で幕がおりるのだが・・。
脱走シーンに出てくる高圧電流が流れる電線をベルトを使って滑って逃げる方法は
シルベスタスターローンの「デッドフォール」がネタ元と思われる。
「ランナウェイ・プリズナー」は架空のテレビ番組だ!)

SOSの猿

装丁は文句なく一番の出来。シュールだ!
マンガ家五十嵐大介氏とのコラボ作品とのことだが、マンガを
読んだことのない私にはよくわからなかった。
モンダンタイムスの続きのような感じもあるし・・・。
孫悟空にエクソシストなどなど、ソコソコ楽しめたが・・・。
 

2011年5月21日土曜日

嘘をもうひとつだけ(2000/04 )

5つのエピソードを綴った短編集。
加賀恭一郎は短編より長編がいいのだが、加賀中毒患者には
あまり気にならないのかもしれない。

私が彼を殺した(1999/02)

三人の登場人物の独白というスタイルで、錯綜的に物語が進行してゆく。
兄と妹の近親相姦といういささかショッキングな愛憎劇を交え、前作同様
最後まで犯人は明示されず、巻末に再び袋とじが・・・。
さて、結局犯人はだれだったのか?!

2011年5月20日金曜日

悪意(1996/09)

シリーズ第4話。前作からわずか3ヵ月後に刊行されている。
なんとも性悪な奴が被害者で、犯人への同情が禁じえない話。
二人の手記を読み進む形で物語が進行してゆく。
加賀恭一郎が根気よく推理と捜査を進めてゆく過程が面白い。

どちらかが彼女を殺した(1996/06)

シリーズ第3話。前作から7年ぶりの登場。いよいよシリーズ化が本格化する。
妹が殺され、犯人への復習を誓う刑事の兄。
その兄の前に現れたのが加賀恭一郎・・・。
そして、最後まで犯人は明確には語られていない。
文庫本には、巻末に袋とじで犯人はだれかという推理が書かれているが、
私には今だよく分からない。

眠りの森(1989/05)

刑事となった加賀恭一郎がデビューするシリーズ第2話。
ここでも加賀は登場人物の一人に恋してしまう。
現在のクールな恭一郎からは想像できない。
バレリーナという、あまりなじみのない世界をベースにした推理小説。
まずまずの出来か。まだはっきりとしたシリーズ化の気配はない

卒業-雪月花殺人ゲーム(1986/05) 

加賀恭一郎シリーズ第1話
加賀恭一郎がまだ学生であった頃のエピソード。
冒頭、加賀が彼女に告白するところから始まる。
学園が舞台とはいえ、登場人物たちは妙に冷静で老成しているし、茶道をベースにした
謎解きは少々マニアックすぎる感もある。
なにやら、これでもかといろいてんこ盛り!
多分作者にもシリーズ化する意思はなかったのだと思う。

あるキング

伊坂氏の作品は、他の作品と何らかの関連性を持つことで有名だが、
この話は少し異質な作品。
天才的な野球選手が育てられて行く過程が、淡々と独特の世界観で
語られて行く。系列的には「魔王」のそれか?

2011年5月17日火曜日

モダンタイムス

大人向けの漫画雑誌に漫画とのコラボ小説として連載されたらしい。
漫画が挿絵として挿入されている特別版と、挿絵のない通常版の2タイプが発売された。
大転換の後の作品なので、少し分かりにくく、話に乗って行けない感じ。
私だけだろうか・・・。


2011年5月16日月曜日

FRINGE(フリンジ)

スタートレックやLOSTを手がけた脚本家J・Jエイブラムスの作品。
「パターン」と呼ばれる奇々怪々な事件を担当するFBI女性捜査官ナダム。ただ、あまりに特殊な事件であるため、精神を病んで入院していたマッドサイエンティストビショップ博士とその息子ピーターに協力を求める。
マッドサイエンス、平行宇宙などかなりマニアックな内容になっているが、かっての「トワイライトゾーン」を彷彿とさせる雰囲気があって、なかなか面白い。
場面チェンジで使用される一種独特のオブジェ(挿絵?)もクールな感じ。
スタートレックのスポック船長も登場する?DVDはシーズン2まで発売されている。

ゴールデンスランバー

伊坂氏本人が”大転換”と語る作品。
独特の言い回しやクセのある登場人物、あるいはストーリーのトラップが鳴りを潜め
作風の変化が明らか。昔の伊坂を懐かしむ人が多分多いと思う。
こちらも映画化されている。

 新刊          文庫

 DVD

2011年5月15日日曜日

Criminal Minds(クリミナルマインド)

WOWOWで放映されているテレビドラマ。
第5シーズンの放映は終了したが、最終話は計画停電を利用した連続殺人がテーマと
なっており現在の日本の事情に配慮して放映されていない。

FBIに実際に存在する「行動分析」(プロファイリング)を専門とするエリートチームの活躍
を描くサスペンスドラマ。
出てくる犯罪者はサイコキラーやシリアルキラーと呼ばれる異常な殺人者ばかりで、冷静
に考えるとヘドが出そうな事件の連続。
この番組のファンである長女が「我が家は週に何人もの遺体を見ている!」「嫌な奴の殺し
方はいろいろ知っている!」と言う様に、本当に残酷かつ異常な話の連続なのだが・・・。
行動分析課のメンバーのクールさ快感でもある。
ちなみに、長女はIQ180の天才捜査官リードの大ファンである。
DVDは第5シーズンまで販売されている。

フィッシュストーリー

それぞれ独立した話が連作風に語られる。
伊坂作品の中では、大人しい方の部類にはいる。
泥棒黒沢がメジャーな登場人物として認識されることになった作品?
この作品も映画化されている。


  新刊         文庫

 DVD

陽気なギャングの日常と襲撃

陽気なギャングの続編。
それなりの話ではあったが、一作目ほどのインパクトはなし。

2011年5月11日水曜日

LIE TO ME

人間のしぐさや表情から“嘘“を見抜く心理学者カール・ライトマン。
同僚のジリアン・フォスターと経営するライトマン研究所を舞台に繰り広げられるサスペンスドラマ。
主人公は強烈に個性的で、ほんと嫌な奴。このスパイスが効きすぎでドラマに感情移入できない人も多いかもしれない。
一応FBIに協力するという設定なのだが、メンタリスト以上に“静的”な場面が多くなり若干ドラマチックな要素に掛けるところがある。設定は結構面白いのだが・・・。
特に私はライトマンの一人娘のキャラクターが気に入っている。
破天荒な父親とうまく折り合いをつける彼女のスタイルがクールだ。
DVDはシーズン2まで発売されている。シーズン2の方が、少々スパイスを薄めている感じか?