2011年7月31日日曜日

歴史はベキ乗で動く

昔読んだマルクス系の思想を批判的に概説する本(多分、岩波新書だったと思うが)に、
「多くの兵隊が隊列を組んで行進しているとする。集団としての隊列の動きは予想可能
だが、個々の兵士の仕草は予想できない。」といった記述があり、わが意を得たりと
記憶している。
(つまり、マルクス理論は隊列を対象にするもので、個々の兵隊の動きは無理という話)

この本は、地震や山火事、株式市場の暴落、などが全て”べき乗則”と呼ばれる数式に
当てはまると言う。
最初に出てくるのが地震発生について調査した「グーテンベルク・リヒターの法則」。
エネルギーが2倍になると、その地震が発生する確率は四分の一になるというもの。
若干の誤差はあるものの、山火事の発生にもこの公式が当てはまり、人間が関与する
株式市場もこの例外ではないと論が進む。


もちろん、先のマルクスの話と同様、個々人の心の生業まで予想できる訳ではない
のだろうが、なんとも、刺激的な本だ。
ちなみに、副題は「種の絶滅から戦争までを読み解く「複雑系科学」とある。