2011年6月20日月曜日

柳井正/ユニクロ④ ユニクロ症候群~退化する消費文明~

昔からよく読んでいるファッション評論家小島謙介氏の本。
ユニクロがなければ書かれることのなかった本だと思うので、ユニクロのカテゴリーで紹介
させてもらう。
小島氏は、ともすれば感性という都合のよい言葉で話がまとまってしまうファッション業界を
独自の分析手法を用いて科学的解説してくれる数少ない評論家。
「ユニクロ栄えて国滅ぶ」とはなかなかセンセーショナルな表現だ。
いささか独善的な所もあるが総じて面白かった。
また、効果的な数字の使い方は、別の意味で感心する。


さて、以下は本書に出てくる「デジタル世代」を定義した一文。
デジタル世代とは、デジタルに圧縮された音楽や映像、ファストフードで育ったおおむね
アンダー37歳(73年以降生まれ)の若者層で「ipod」や「ウォークマン」で圧縮された音楽を
聴き、デジカメやケータイの「写メ」で圧縮された映像を見る、デジタル化以前の感性豊か
なアナログ文明を体験せずに育った「完成圧縮世代」と定義される。・・・・
デジタル世代はアナログでしか分からない高品質やデリケートな風合いを知らず、必要とも
していない。
ゆえに品質や風合いに難があっても「速い安いトレンディ」なファストファッションが爆発的に
受け入れられ、品質や風合いまで見えないケータイ画面でファッション商品を買えてしまう。
品質や風合いが不要な分、トレンドデザインの鮮度だけ追って価格は安くなる。
そんな若年世代マーケットの退化で低価格化が加速され、衣料品市場が縮小しているのだ。


若い世代には異論もあるだろうし、いささかセンセーショナルな表現ではあるが”言いえて妙”
な意見でもある。