2011年6月20日月曜日

柳井正/ユニクロ① 一勝九敗

私は文庫本で読んだが、元は2003年に柳井氏が創業20年の節目にと出版したそうだ。
2001年のフリースブームに乗り、ユニクロが頂点を極めるまでの回顧録といった内容。
柳井氏自身は回顧録など書いたつもりはなく、ユニクロ社員が共有すべき創業以来の
価値観を確認するための著作とのことだ。

90年代早々のユニクロは、安かろう悪かろうの店という印象だった。
ただ、フリースが爆発的にヒットした頃のユニクロはまったく違う会社になっていた。
「洋服はファッション性のある工業製品」というコンセプトを具現化した店は、当時、衣料品
を扱う会社に勤めていた私には目から鱗の衝撃だった。
1980年後半から、アジアの安価な労働力を背景に労働集約型産業であった衣料品は
大きく海外生産にシフトしていった。その中で”大量生産”の威力は頭では理解していても、
リスクを張って商品を万の単位で発注するのは難しい。
「大量に同じものを作れば、原料や製造費は劇的に下がり逆に品質は安定して行く」
それを、ユニクロはまさに基本に忠実にやってのけた。
商品よりもその徹底した物作りの仕組みに圧倒された。
そういう個人的な感慨も含め、柳井氏の言動にはずっと注目している。

また、柳井氏は猛烈な勉強家でもあるそうで、経営書を読み漁っているとのこと。
経営学という論理を実際のビジネスに生かそうとする、日本では数少ない経営者でもある。
現時点で、日本を代表する有数の経営者ではあるが、それでも多くの失敗を積み重ねてきた
ユニクロの軌跡はおもしろい。